2012年11月15日、「ゆすはら健康長寿の里づくりプロジェクト」(健康長寿を実現する住まいとコミュニティの創造)の第1回プロジェクト会議が、高知県梼原町で行われました。
梼原町は、町の面積の91%を森林が占め、高齢化率は39.5%。これは、40年後(2050年)に予想される日本全体の高齢化率と同じ数字です。
日本の将来を見つめ、「健康長寿のモデル都市」の実現を目指そうと、梼原町を舞台に、“健康と住環境”に着目したプロジェクトが本格的に始まりました。
町外からこのプロジェクトを採択した、独立行政法人科学技術振興機構(以下JST)社会技術研究開発センター「コミュニティで創る新しい高齢社会のデザイン」研究開発領域の秋山弘子総括をはじめ、プロジェクトメンバーである、星旦二首都大学教授、慶應義塾大学伊香賀研究室のスタッフほか、合わせて23名が梼原町を訪れました。
会議では、開催地である梼原町の矢野富夫町長、そして、JSTの秋山総括が挨拶、梼原町側が、これまでの取り組みについて紹介しました。
健康は自分たちの手で守る!「ゆすはら健康文化の里づくり」
内田望梼原病院長が、保健・医療・福祉を一体とした地域包括ケアの歩みやその概要などについて説明しました。続いて、橋田淳一梼原町保健福祉支援センター長、さらに第8期の健康推進員を代表して戸梶圧美さんが活動報告しました。
健康推進員とは、1977年から始まった梼原町独自の「健康推進員制度」によってできたものです。この制度では、住民同士が話し合い、20戸に1人の割合で推進員を推薦(3年任期)。選ばれた住民は講習会などに参加して病気の知識を蓄え、医療者と町民の間をつなぐ役割として、特定健診やがん検診への参加を住民に呼び掛けるなどさまざまな活動をしています。
創設から30年以上が経ち、健康への知識と意識を備えた推進員経験者は年々増加。現在までに計1300人を超え、町の人口の約3分の1を占めるまでになり、町にとってはかけがえのない財産となっています。
住民参加の健康づくり、命を守る仕組みづくり
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健康文化の里づくり推進員の歴史
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会議ではさらに、プロジェクトメンバーを代表し、慶應義塾大学伊香賀俊治教授が今後の実施計画を説明し場所を変えて、町民向け勉強会も実施。活発な意見交換が行われ、第一弾として健康推進員20世帯を対象とした具体的な調査を、2013年2月中旬に行うことを確認しました。
科学技術振興機構秋山弘子総括
21世紀は「環境」と「高齢化」が大きなテーマ。
この2つの課題に先進的に取り組む高知県梼原町で行う実証実験に期待しています