私どもは、高知県梼原町と共同で町民の健康追跡アンケート調査を2002年以来3度にわたって担当し、生活習慣、屋内外の住環境、健康との関連を明らかにしてきました。また、生涯学習をはじめとする町のさまざまな行事への参画を通して、長年にわたり行政・町民と共に『環境』と『健康』に関する取組を行なってきました。その間にも町の人口減少と高齢化が進行し、高齢化率はすでに40％を超え、我が国全体の40年後（2050年）の未来の姿となっています。
集落が広範囲に分散しているため、高齢者自身のモビリティ(動きやすさ)や在宅医療・介護サービスを提供する医療福祉従事者の移動負担も増えてきました。
これらの課題に対して、梼原町は医療福祉施設や生活利便施設までの送迎サービスや、光ケーブルを使った通話料無料の町内IP電話の配備、80歳以上の単身世帯への人感センサーによる見守りシステムの導入などといった対策を講じてきました。しかしながら、直近には孤独死が2件発生し、見守りを行う住民組織の構成員の高齢化も深刻化しつつあることから、健康長寿を実現する住まいとコミュニティの創造という新たな展開が急務となっています。
　都市部についても超高齢化は時間の問題で、都市部では地域のつながりが希薄である故に、より危機的状況となることが予測されます。そこで、東京都多摩市などといった他の自治体・住民との学習会を通した情報共有や普及活動も検討しております。このプロジェクトでのアクションリサーチは、高齢化社会に向けたコミュニティの在り方を考える上で、大いに参考にしていただける取り組みになると考えております。

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