子どもたちの健康を見つめ直す
「梼原っ子体力アッププログラム」
山深い梼原町の木々が色づき始めた、2013年秋。
近年の児童生徒の体力の低下や肥満傾向児の増加といった子どもたちの健康問題を背景に、「梼原っ子体力アッププログラム」が行われました。
これは、梼原町の将来を担っていく児童生徒の体力をアップするために実施されたもので、梼原学園の4、6、7、9年生(7年生は中学1年生、9年生は中学3年生)、計61名を対象に行われました。
子どもたちには、9月の運動会前後の比較的運動をしていると思われる時期の1週間程度と、10月のいつも通りの生活を送っている同じ期間で活動量計をつけてもらい、比較することにしました。
中山間地の子どもの方が
運動不足に陥りやすい
一般的に現代の子どもたちはテレビゲームなどの普及で学校や近所で友だちと遊ぶ機会も減っていますが、中でも中山間地の子どもたちは、都会の子どもたちに比べて活動量が低い傾向にあると伊香賀教授は言います。
理由としては、学校の統廃合により、自宅と家をスクールバスで通学することで、歩く機会が失われていること、さらに、家庭でもマイカー依存度が高く、全体的に運動量が少なくなっていること、などを挙げています。
子どもたちには毎日の活動記録もあわせてつけてもらい、活動量計のデータ照らし合わせることにしています。
今回の結果を受けて、学校での運動を促したり、生活習慣を見直したりするなど、学校や家庭での健康を向上させる取り組みにつなげていってほしいと考えています。
お隣、愛媛県の新居浜市泉川地区では、先進的にこの問題に取り組んでいます。
小中学生が自らの通学路について見直す「安全・安心マップづくり」を平成22年から始めました。
4年目となる今年はこのマップを発展させ、子どもたちと地域住民の健康問題について地域全体で対策を考えようと、楽しみながら安全安心に歩くことのできる「お散歩ルートマップ」づくりを行いました。
道ばたの花壇やきれいな景色などの情報も地図に盛り込み、子どもたちが歩きたくなるルートマップを目指しています。
11月19日、泉川中学1年生を先頭に、泉川小学校全児童が参加しての「まちあるき」を行いました。
真冬並みの寒さの中、子どもたちは地図を片手に元気よく歩き、それを見守る大人達の姿が印象的でした。
子どもたちの目線でつくられたマップをもとに、今後は地域のお年寄りも一緒に参加してもらえるような取り組みにしていきたいと地元の方達は言います。
慶應義塾大学のプロジェクトチームは、この泉川の子どもたちやお年寄りの活動量の調査も行っており、今後、梼原の子どもたちとの比較やそれぞれの地域間交流の機会を設けて、健康増進につなげていきたいと考えています。
それぞれの詳しい調査結果は、まとまり次第、このHP上に掲載いたします。